女子旅 × 自転車
秋田里山サイクリング体験記
 
   

「秋田でサイクリングしない?」
 山の紅葉がみごろを迎えた10月半ば、秋田里山サイクリングを体験したのは、東京の女子三人組。
今回、自転車はレンタル、サポートカー付きで、長い距離を走った経験のない人でも安心して参加できる23日のツアー。
 

 

 初日、秋田空港に着くと出迎えていたサポートカーに乗り込み、向かったのは県南部の由利本荘市。
東北地方を代表する名峰・鳥海山を望み、海も田園地帯も高原もある自然に恵まれた由利本荘には、海寄りの羽後本荘と鳥海山麓の矢島の間、約23kmを由利高原鉄道が結んでいて、今回は鉄道に沿ってサイクリング。
海から内陸に向かっていくし、高原鉄道というくらいだから、登りばかり? いえいえ、田んぼの中をゆるゆると標高をあげていくので、心配するなかれ。
進むにつれて、鳥海山も姿を見せて「見て、頂上はもう雪だよ!」なんて、気分もあがるのでした。

 

 立ち寄った道の駅の裏手は、川沿いに続く桜並木。
春には満開の桜ごしに残雪の鳥海山を眺められそう。
そして、今回は利用しなかったのだけれど、由利高原鉄道はサイクルトレインを実施(410月のみ)していて、自転車をそのまま載せることができるという。
楽しそう。
 

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 由利高原鉄道の終点・矢島駅でサイクリングもゴール。
ここまで無人駅ばかりだったけれど、矢島は車両基地が併設された大きな駅。
駅舎に入ると「お嬢様がた、どうぞ」と声をかけてくださったのは、着物姿の素敵なおばさま。
このかたこそ、この駅の名物売店・まつ子の部屋の主、まつ子さん。
春に桜の花を集めて漬けておいたのよ、といれてくださった桜茶の美味しいこと! ごちそうさまでした。
 

 サポートカーで移動して、2日目は横手市増田地区を中心にサイクリング。
かつて商業が盛んだった増田には、往時をしのばせるレトロな街並みが残っており、立派な内蔵(家の中につくった蔵)がある伝統的な家屋も必見。
明治から昭和初期にかけて建てられたものとのことですが、一部はレストランやカフェに生まれ変わって再び街ににぎわいをもたらしています。
この季節の増田で楽しみなのは、りんご狩り。実は秋田、美味しい果物の産地でもあって、奥羽山脈の麓の増田は、秋田を代表するりんごの産地なのです。
 

道の両側に、たわわに実った紅いりんごを見ながら自転車を走らせ、訪ねたりんご園ではシナノスイートという品種が食べごろとのこと。
さっそく試食させていただくと、ジューシーでシャキシャキとして、あま~い! これはもう「アキタスイーテスト」と呼ばせていただきたいです。
 
 3日目の朝は、乳頭温泉郷からスタート。
秋田県の東部、乳頭山(烏帽子岳)の山懐、7つの温泉からなる湯の里で、近年はインバウンドの観光客も大注目。
そして、そんな海外からのお客様に人気のアクティビティが「電動アシスト自転車で温泉郷を巡る」ことと聞いて、女子三人組も体験することに。
 

 スタート地点の休暇村乳頭温泉郷に行くと、ガイドさんが自転車を準備してシタンバイ。
まずは温泉郷のイラストマップを広げてコース紹介から。
「さ~っと走ったら30分くらいの距離ですが、景色を楽しみながら2時間ほどかけて回ります」とのこと。
 
 走りだすとかなりの急勾配。
でも、そこは電動アシストのおかげでスイスイ。楽しすぎる!
 「海外からのお客様も走るのが楽しくなって、なかなか止まってくれないこともあるんですよ」と ガイドさん。
 九十九折を登りきったら、渓流沿いに下りながら7つの温泉のうち6つをめぐって出発した休暇村へ。
いずれも趣のある一軒宿ばかりで、ここでも秋田の魅力に触れたのでした。
 

 山の温泉を下りて、空港へ向かう前に、短い距離ながら田沢湖と角館でも自転車を走らせて、大充実の女子旅は無事終了。